「出さないといつまでも0点だ」リアクション動画を世に広めるために行動し続ける現役東大生起業家・柳澤悠貴が大切にしていることとはーーJOBS CAMP卒業生インタビュー #8

Interview 2023/07/12

U23若手起業家育成プログラム「JOBS CAMP」卒業生インタビュー第8弾!

今回のゲストは、東京大学在学中にエンタメ系のスタートアップ・株式会社Emosyを起業した柳澤悠貴さん。エンタメコンテンツを通じた「感動の分かち合い」の輪を広げるべく、事業を展開しています。

柳澤 悠貴さん(Yuki Yanagisawa)
東京大学4年生・株式会社Emosy 代表取締役社長

JOBS CAMP5期生

2000年、東京都出身。東京大学に入学後、陸上運動部で長距離を専門に活動するも、怪我を契機に退部。同時に訪れた新型コロナウイルスの自粛期間中、アニメリアクション動画に出会い魅了され、2020年12月、YouTubeで海外のアニメ反応翻訳チャンネル「ヤンキー翻訳」を開設。

2年半の運営を通して、チャンネル登録者数6万人を達成したものの、リアクション動画界隈の現状を打破するために事業をスケールさせる必要性を感じる。その後、スタートアップ企業での長期インターンやアクセラレーションプログラムへの参加、アニメ業界関係者への壁打ちを通じて、事業案をブラッシュアップ。2023年4月、株式会社Emosyを創業し、リアクション動画メディア「NEXT REACTION」を立ち上げ。

中学・高校では部活に打ち込みつつ、猛勉強して東京大学に合格。いわゆるエリート街道を進んでいた柳澤さんに、突然始まったコロナ禍によって転機が訪れます。

家から出られず、やることもなく孤独な時間の連続。そんなときに出会ったのは、アニメと英語、そして「リアクション動画」でした。

誰かと一緒にアニメを見ているような感覚になれるリアクション動画の魅力に引き込まれていった柳澤さん。まずは海外のリアクション動画の翻訳チャンネルをYouTubeで開設し、行動する中で徐々に起業の道を見つけていきます。

突然襲いかかった苦難にも負けず、常に何かに打ち込み行動し続ける柳澤さんが大事にしている価値観とは。起業に至るまでのストーリーを伺いました。


U23若手起業家育成プログラム『JOBS CAMP』とは

パーソナルキャリアデザインサービス『BEYOND CAFE』を運営し、累計6万人の学生をサポートする株式会社Beyond Cafeと株式会社サイバーエージェント・キャピタルが2020年8月に立ち上げた若手起業家育成プログラム。

未来の日本を牽引する起業家を輩出するために、U23の学生を対象にU30の若手起業家がメンターとなり、2ヶ月間のワークショップを行います。

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▼過去メンター(※一部抜粋)
株式会社タイミー 代表取締役 小川 嶺さん
株式会社POL 代表取締役 加茂倫明さん
株式会社MiL 代表取締役CEO 杉岡侑也さん

▼第7期生募集中!
募集期間:2023年7月4日(火)〜2023年8月11日(金)
開催期間:2023年8月30日(水)〜2023年10月28日(土)
※スケジュールは予告なく変更となる場合がございます
※応募多数につき予定を繰り上げて応募〆切とさせていただく場合がございます
※エントリーは下記公式サイトから


これまでの経歴を含め、自己紹介をお願いします。

東京大学文学部英文科4年、株式会社Emosy代表の柳澤悠貴と申します。

大学2年生までは、陸上部で長距離を専門として部活動に打ち込み、文武両道な東大生を目指して毎日を過ごしていました。しかし、自身の怪我やコロナ禍に入ったことによって部活を辞め、自宅待機期間は英会話とアニメ鑑賞に打ち込みました。

その中でアニメを見る人の反応を撮った「リアクション動画」にハマり、海外のリアクション動画を日本人向けに翻訳して公開するYouTubeチャンネルを開設。チャンネルを運営する中で起業に興味を持ち始め、スタートアップ企業など2社で長期インターンをしたり、JOBS CAMP5期に参加したりした後、株式会社Emosyを創業しました。現在、大学は休学しています。

株式会社Emosyは、「YouTuber」や「ライバー」といった職業があるように、「リアクター」という新たな職業を生み出すことを目標に設立したもの。リアクターとはアニメやドラマなどのコンテンツを見ながら、リアクションを撮影・配信する人を指します。

現在、株式会社Emosyでは、リアクション動画メディア「NEXT REACTION」というYouTubeチャンネルを運営中。今後は、アニメやドラマの製作サイドの企業に、コンテンツの宣伝・プロモーションの手段のひとつとしてリアクション動画を活用してもらうなど、リアクション動画をもっと世界に広めることを目指して活動しています。

リアクション動画メディア「NEXT REACTION」

孤独で迷走していたコロナ禍。リアクション動画が扉を開けてくれた

リアクション動画を世界に広めようと活動されていますが、柳澤さんご自身はコロナ禍にリアクション動画にハマったとのこと。何がきっかけだったのでしょうか。

そもそもアニメ自体、それまではあまり見ていなかったのですが、コロナ禍に入ってからはアニメ鑑賞と英会話に一日のほとんどの時間を費やすようになったんです。

それまでは大学に行って勉強したり、部活動に打ち込んだり、充実した大学生活を送っていたのですが、コロナ禍が始まったことで生活が一変しました。ずっと家に一人でいて、特にすることもなく、気持ちも落ち込みがち。コロナ禍が始まった頃は、どうしようもない迷走期でしたね。「大学生のつぶやき」みたいな名前のTwitterアカウントを作って、ひたすら病みツイートをしていました(笑)。

それまでは真面目一筋で、勉強や部活など何かにずっと打ち込んできたからこそ、落ち着いていられなかったというか。暇な自分が嫌になってきてしまい、とりあえず何かに飛びつこう、熱中しようと思って英会話とアニメ鑑賞に明け暮れるようになりました。

そんな中で、海外の方が日本のアニメを見ながらリアクションをする動画をYouTube上で見つけ、よく見るようになったんです。

アニメ鑑賞だけでなく、英語力も上がっていたからこそ、海外のリアクション動画を楽しむことができたんですね。

そうですね。なんとなく始めたアニメ鑑賞と英会話があったからこそ、リアクション動画にハマったのだと思います。

正直、初めてリアクション動画を見たときはそこまで印象に残らなかったのですが、なんとなく見続けているうちに、ハマったきっかけとなる出来事がありました。それが、アメリカ在住の「SOS兄弟」というリアクション動画YouTuberによる、日本のアニメ『ハイキュー』のリアクション動画を見たことです。

SOS兄弟のYouTubeチャンネル

アニメ『ハイキュー!!』を、SOS兄弟のリアクションと共に1期、2期と何話も見続けていました。3期の4話でとても盛り上がってグッとくるシーンがあるんですが、それを見た瞬間、鳥肌が立ち、自室で一人で見ていたにもかかわらず、ガッツポーズをしながら思わず叫んでいたんです。

なぜそんなに興奮したのかというと、画面越しではあれど、SOS兄弟とは「ずっと同じ作品を一緒に見てきた友達」のような感覚があったから。だからこそ、盛り上がるシーンを見て、一人きりではなく誰かと感動を共有でき、それによって感動が大きくなる感覚を得られたのです。一人でアニメを見ていたときには味わったことがない、初めての体験でした。

当時、コロナ禍で一人にならざるを得ない状況だったからこそ、リアクション動画によって誰かと感動を共有するという体験は僕にとって大きな出来事だったのだと思います。リアクション動画は、アニメを見ることで得られる感動を何倍にも膨らませてくれるコンテンツであり、僕にとって特別なものだと思うようになったきっかけでした。

現代は、多くの人が孤独を感じてしまいがちな面があると思います。その中で、リアクション動画は、孤独感を軽減させる手段のひとつとしても捉えられると考えていますね。

その後、SOS兄弟の動画の翻訳チャンネルを立ち上げられましたよね。リアクション動画をただ視聴者として見るだけではなく、「自分でもやってみよう!」と考えた背景が気になります。

当時、SOS兄弟のリアクション動画を日本語に翻訳した日本人向けのチャンネルが、すでにいくつかありました。それを見つけたときに、「僕ならもっといい翻訳動画を作れる」と思ったんです。

正直、それらのチャンネルの翻訳やサムネイルの質は高いとは言えず、SOS兄弟の心からのファンとしては、彼らへのリスペクトも感じられませんでした。「僕の方が、もっとSOS兄弟やリアクション動画の魅力を伝えられる!」と思い、自分でSOS兄弟の翻訳チャンネルをやってみようと思い立ったんです。

ファンとしての思いや英語力があったからこそ、「自分だったらどうするか?」という視点で見ることができたんですね。

そうですね。その時点では、SOS兄弟の翻訳チャンネルを始められる環境は揃っているから、うまくやれるだろうという自信がありました。「翻訳スキルとSOS兄弟やリアクション動画への愛があれば、なんとかなる!」と思っていました(笑)。

食事の間も惜しみ、YouTube運営に没頭する日々

自信があったとはいえ、YouTubeチャンネルをゼロから立ち上げるのは大変なことも多かったのではないでしょうか。

まさにそうで、本当に大変でした。

動画編集自体の経験がなく、「そもそもどの動画編集ソフトを使えばいいんだろう?」と思うくらい初心者でした。最初は無名の使いづらいソフトを選んでしまって、せっかく動画を作ったのに、最後にデータとして書き出しができず、絶望しましたね。最初の動画は字幕の位置もタイミングも変だし、1分くらいの短いものしか作れず、慣れていないがゆえにとにかく時間がかかって大変でした。

最初は悪戦苦闘しながらでしたが、2ヶ月間、持てる全ての時間をYouTube運営に使ってほぼ毎日投稿しました。とにかくリソースを投下し、視聴者の反応を見ながらものすごいスピードで改善を加えていったんです。

その結果、2ヶ月で登録者数が1万ほどまで伸び、「これは需要がありそうだ」という実感を得られました。

慣れない中だったのに、毎日、一日中YouTube運営に取り組めるってすごいことだと思います。しんどさや飽きを感じたことはなかったのでしょうか。

全然なかったですね。本当に夢中になって、ひたすらずっとYouTube運営だけをやっていました。

「ブタメン」というお菓子、ご存知ですか?当時はあれを箱買いして、食事はパパッとそれだけで済ませて、あとはずっと動画編集という生活をしていたんですけど、おかげでどんどん動画を作れました(笑)。

もともと、部活や受験勉強も夢中でやっていたように、一度ハマると没頭できるタイプなんですよね。

YouTube運営を始めた頃の様子

体には良くない生活ですが(笑)、そこまで一つのことに没頭できる人はなかなかいないと思います。幼い頃からそういう性格だったのでしょうか。

性格もあると思いますし、親の教育のおかげかな、とも思っています。

僕の親は、いい意味で放任主義だったというか。幼い頃は、押し入れを自分の部屋にしたり、部屋の中に跳び箱を作ったり、家の中でめちゃくちゃなことをしていたんですよ。そういうことを親から止められず、全て自由にやらせてもらっていたからこそ、やりたいことに夢中になって没頭できるような性格になったのかな、と思いますね。

なるほど。登録者数が1万を超えてからは、初めて外注して複数人でチャンネル運営をするようになったんですよね。また別の大変さもあったのではないでしょうか。

やはり、最初はうまくいかなかったですね。契約書の作り方も、動画制作をどういう風に依頼すればいいかもわからず、最初に手伝ってもらった3人ほどはすぐ辞めてしまいました。

一旦僕一人で運営する状態に戻って、また人員を再募集したのですが、その際は、なるべく細かく作業を切り出し、初見の人もスムーズに取り組めるようにマニュアルなどを整備したり、スプレッドシートを使って納品日などを管理したり、試行錯誤しながら再挑戦しました。すると、次第にうまく回るようになっていきましたね。

すごいスピードでPDCAを回されていて、さすがです。チャンネル運営にコミットするために1年休学されたそうですが、休学することに迷いや、周囲からの反対はありましたか?

かなりありましたね。僕自身の中でも迷いはありましたし、特に親には止められました。

それまでずっと真面目に、いわゆるレールに沿った人生を歩んでいたので、親には東大を卒業して大企業に就職すると思われていました。コロナ禍に入る頃に部活を辞めていたのですが、部活を辞めることも休学も、どちらもレールから外れる選択といえるので、今までレールに沿って生きてきた僕自身にとっても、迷うものでした。

けれども、僕自身の中で休学する理由が明確だったので、その選択を正当化できたんだと思います。チャンネル運営だけのためではなく、何か新しいチャレンジのため、主体的に働くということを探求するためなど、休学する理由づけがいくつかありました。

今までレールに沿って真面目に生きてきたからこそ、一度道から外れることで得られるものもあるのではないか、とも思いましたね。

焦りとワクワク感から、起業を決意

ひたすらYouTubeの数字を伸ばすことに集中していた段階から、起業を決意するまで、どのような気持ちの変化やきっかけがあったのでしょうか。

2つの出来事を経て、起業しようと考えるようになりました。

まず1つ目は、親と休学期間は1年間と約束していたのですが、その1年間をほぼ終える頃になって、「変わるために休学したのに、何も変えられていない」という焦りを覚えたんです。

YouTubeの数字を伸ばせたといっても、登録者が数万人のチャンネルはYouTube上に数えきれないほどあります。今の僕だったら、ひたすらYouTubeを伸ばすことだけに集中していた当時の僕に、別のアドバイスをしますね。「とりあえずチャンネルだけやっていても意味ないぞ、変えられないぞ、お前」と(笑)。

「社会に出て、実際にアニメを作っている人やビジネスサイドの人の話を聞きに行き、自分が社会的にどういう立場にいるのか感じてみた方がいいよ」と、当時の僕には言いたいです。

1年間の休学が終わる頃、YouTube運営しかやっていない状況に焦りを感じたことから、スタートアップ企業で長期インターンを始めました。そこで、ビジネスの現場がどういうものなのか初めて学び、当時の僕とは見ている市場や考えていることのスケールが違うことを体感。その経験から、ビジネスや起業を意識するようになりました。

2つ目は、同時視聴やリアクション動画に関わるプロダクトを作っている、とある方との出会いです。彼は僕と同い年の当時大学3年生で、その2年前くらいにすでに会社を設立し、リアクション動画関連のツールやプロダクトを実際に作っていました。彼の存在をTwitterで知り、すぐに「話を聞かせてください!」と連絡して翌日に会うことができたんです。

会ってみて、彼がすでに行動し続けてきたことに圧倒されたというか、「彼が先に進み続けている間、僕はチャンネル運営しかやってこなかったのだ」と思うと、僕自身の方向性や考え方から変えないといけないと感じました。その出来事がきっかけで、起業を決意しました。

エンタメ領域のスタートアップ関係者の集まりにて(柳澤さんは前列左から3番目、上述の同い年の起業家の方は後列右から3番目)

同い年の彼は、はるか先を行く人のように見えたんですね。そのときの気持ちとしては焦りが大きかったですか?それとも、起業に向けてのワクワク感もあったのでしょうか。

ちょうど、焦りとワクワク感が半分ずつでした。

焦りはもちろんありましたね。自分が頭の中で考えていた「こういうことできたらいいな」ということを、同い年の彼がすでに実現していたので、僕が同じ内容で起業しても勝てないと思って。そんな焦りをきっかけに、リアクション動画に専念するため、インターンを辞めました。

ワクワク感としては、「僕と同い年の学生でも、ここまでアニメの製作委員会の方などと対等に交渉できるんだ、アイデアを実現できているんだ」「それなら自分が考えたアイデアも実現できるかもしれない」という気持ちがありました。

そんな焦りやワクワク感から、リアクション動画をもっと世に広めるための新しいアイデアを練り、起業しようと決意したんです。

JOBS CAMPで、仲間と学び、人生のヒントに出会う

なるほど。起業を決意された頃に、JOBS CAMP5期に参加されたんですね。そもそも、JOBS CAMPをどこで知りましたか?

JOBS CAMPの1期生で、「myfit」という会社を起業された山田真愛さんが、僕の元バイト先の先輩だったんです。僕が起業を決意したタイミングで一緒に食事をさせていただき、その際にJOBS CAMPをおすすめしていただいたことで知りました。

当時は起業しようという決意はあっても、右も左もわからない状態。周りに起業する仲間もいませんでした。そもそも起業とはどういうものか体系的に学びたかったこと、僕と同じようなことを考えている仲間に出会いたかったことが、応募した理由です。

JOBS CAMPに参加してみて、一番印象に残っているのはどんなことでしたか?

まずは、「他の参加者のみんながすごい」というのが率直な感想で。最初の自己紹介でみんなの個性的でキラキラしたプロフィールを見て、圧倒されたような感覚がありましたね。「世の中には、同世代でもこんなに行動している人がいるんだ」というのを、ワークショップやプレゼンの中でも感じていました。

JOBS CAMP5期の様子

最初はとにかく彼らのすごさに圧倒されていたんですが、仲良くなって飲み会などもする中で、親しみやすい部分もあるんだなと思うようになりました。

他の参加メンバーの方たちと、すごく仲良くなったんですね。

本当にそうですね。現在もオフラインでも会っている人や、相談し合ったりする人もいます

そういえば、JOBS CAMP参加中に、すごく嬉しかった出来事があって。エンタメ系のスタートアップである株式会社Mintoの取締役・中川さんの講義でグループワークをしていた際、グループの中で1人だけが自分の事業案をプレゼンしてフィードバックしてもらえるという機会があったんです。

そのとき、同じグループのメンバーが、「エンタメ関係の事業をやりたいんだから、君がプレゼンしなよ!」と僕に言ってくれて。僕のことを分かってくれている上で背中を押してくれたのが嬉しかったというか、仲間意識を強く感じた瞬間でしたね。

じつは、このグループワークで僕の事業案をプレゼンできたことをきっかけに、中川さんには定期的に事業相談に乗っていただけるようになったんです。僕にとっては師匠のような存在で、とてもお世話になっています。メンターのような存在ができるのも、JOBS CAMPの魅力のひとつだと思います。

多くの出会いがあったんですね。JOBS CAMPに参加して得られた、現在の事業運営に活きている学びは何かありますか?

「人への伝え方」に関する学びが、現在にも活きていると強く感じます。相手に何かを伝えるとき、自分が持っている情報を詰め込むのではなく、相手の立場に立ち、要点を絞って分かりやすく伝えることが大切ということ。

JOBS CAMPのグループワークのプレゼンは、1回あたり3分ほどと時間が限られているのですが、プレゼンをしたときに「わーっとあれこれ喋ったな」という感覚だけが僕の中に残り、結局何を伝えたかったのかわからないと感じたことがありました。そのプレゼンが終わった瞬間、カルロスさん(※Beyond Cafeの代表)の様子をZoom上で見たら、すごく渋い表情をしていたんです(笑)。その経験から伝え方を意識するようになりました。

現在は、投資家向けのピッチ、共同創業者や一緒に働くメンバー集めなど、僕の事業についてまだよく知らない人と話す機会がたくさんあります。そのような人たちに、僕の会社や事業に興味を持ってもらうために、このときの学びを活かせていると思いますね。

もうひとつ、学びとは少し違うのですが、JOBS CAMP終了後にカルロスさんに資金調達について一度相談したことがあり、それが僕自身や会社の方向性を見つめ直すきっかけになりました

カルロスさんからは、「君自身の最終的な幸せから逆算して、本当に資金調達が必要なのかから考えるべき」といったアドバイスをいただいたんです。そのとき、カルロスさんが本当にその人自身の幸せを考えているということを実感しました。

やっていることは起業家育成プログラムなのに、起業や資金調達だけが選ぶべき道なのではなく、その人の人生にとって幸せなことやゴールから逆算して考えることを重要視するその姿勢に、心を打たれたんです。

カルロスさんにご相談されたときの飲み会(柳澤さんは右手列の右から2番目、カルロスさんは左手列の最奥)

その言葉をきっかけに、事業を進めていく方向性が少し変わりました。とりあえず大型の資金調達をして会社を大きくすることだけが僕にとっての幸せではないと感じ、改めて今後について考えることができたので、感謝しています。

現在、会社を創業し、リアクション動画メディア「NEXT REACTION」を立ち上げられたばかりだと思います。今後の展望を教えてください。

YouTubeチャンネル「NEXT REACTION」は、まず「リアクション動画は面白いもの」という認識を世間に広め、ファンを獲得しつつ、リアクション動画を撮影できるタレントさんなどとのつながりも作っていきたいと考えて立ち上げました。

例えば現在は、『【推しの子】』というアイドルに関するアニメを現役アイドルの方に見てもらうリアクション動画を配信し、より多くの人にリアクション動画を見てもらう試みをしています。実際、「NEXT REACTION」のチャンネルが本格始動してから1ヶ月間で登録者が4,000人ほどまで増え、勢いを感じています。

今後は、「YouTuber」という職業があるように、「リアクター」という職業を確立するべく、社内でリアクターを育成するタレントマネジメントのようなビジネスを展開する予定です。

ゆくゆくは、全てのアニメ・ドラマなどのコンテンツとリアクターをつなぐ架け橋として、エンタメ業界を前に進めていく会社に育てたいです。リアクション動画という僕にとってすばらしいコンテンツを世界に広めることを目標に、事業を運営していきます。

迷ったときこそ、行動する。不安だからこそ、さらけ出す

人生を通して、常に何かに打ち込み、努力し続ける姿勢が印象的でした。柳澤さんご自身が大切にしている価値観や人生の指針はありますか?

とある小説の中に出てくる言葉で、大事にしているものがあります。「出さないといつまでも0点だ。10点、20点でもいいから出した方がいい」というような言葉です。中学・高校で部活の部長をやっている頃、自分を周りに出せず、一人で悩みを抱え込んでしまうことが多かったとき、この言葉に出会ったことで「このままじゃだめだ」と思えたんです。

起業して事業をやっていると、「失敗したらどうしよう」「笑われたらどうしよう」と不安に思うことはたくさんあります。それでも世の中に出すからこそ、世間から反応やフィードバックをもらえるし、うまくいく可能性も生まれると思うんです。

だからこそ僕は、他の人が僕のSNSや活動を見て「この人、こんなことしてるんだ」「こんなことに今つまずいているんだ」と分かるくらい、事業を運営する中での挑戦も失敗も全て発信するようにしています。「失敗も含め、全部さらけ出していこう」と思えるようになったきっかけの言葉ですね。

今振り返ると、コロナ禍に入ってからとりあえず何か夢中になれるものを見つけようと行動したり、常に努力を継続しようと思うようになったりしたきっかけも、この言葉だったのかもしれません。

最後に、起業に興味がある学生や何かに挑戦したいと思っている学生など、未来の後輩へのメッセージをお願いします!

大学生って、いろいろとやることはありつつも、「結局自分って何がしたいんだろう?」などと思い悩む時期だと思うんです。

行動したからこそ見えてくる道、少し進んでみたことで見えてくる分かれ道、進んだからこそ見えてくる自分がいた場所。僕自身の体験も踏まえて、行動したからこそ分かることが必ずあると思うので、迷っているときこそ、何かに手をつけ、何かしらの行動をすることを大事にしてほしいです。

JOBS CAMPは、何かやりたいことや実現したいアイデアがあるけど迷っている人や、どうすればいいかわからず立ち止まっている人には、特におすすめしたいです。参加することで起業やビジネスに対する解像度を高められるのはもちろん、人生についてのヒントが転がっていたり、アドバイスをもらえたりする環境だからこそ。

とにかく、行動していきましょう!

柳澤さんのSNS

Twitter

株式会社Emosyについて

公式HP

インタビュアー / ライター

  • 伊藤 真莉Mari Ito

    株式会社Beyond Cafe マーケター

    1998年1月、横浜生まれ。東京大学在学中、ライバー・タレント活動、ミスコン出場、インフルエンサーと共同で事業立ち上げ、スタートアップ起業など、やりたいと思ったこと全てに挑戦。2020年、大学を中退して旅行系のITベンチャーに入社。コンテンツマーケティング全般を担当し、2021年、旅をしながら働けるようになるために退職し、フリーランスに転身。2022年6月から1年間でパートナーと世界一周を達成し、マーケター、ライターなどとして働く傍らYouTuberとしても活動。自分らしく生きる人を増やしたい。旅と宿とヨガが好き。

    Twitter: @itomari_81

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BEYOND CAFE

企業情報

会社名 株式会社Beyond Cafe
代表取締役社長 伊藤朗誠
設立年月 2016年9月
所在地 〒107-0062 東京都港区南青山 4-8-21 FETOマンション 1階 B号室